harifuku-tiryouin - 茅場町の鍼灸なら慢性痛から神経系の症状改善が得意なはりふく治療院
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オトガイ神経麻痺(下歯槽神経麻痺)になると、オトガイ部の知覚神経が麻痺(鈍麻)することで、センサーを失った下唇下制筋や口角下制筋などが動作困難となり、ひどくなると短縮・拘縮を起こします。

結果として見た目に、下部赤唇が切り上がったように斜めになり、「唇の形が変わってしまった」という状態になります。運動神経が損傷したわけではないので動作は可能ななずですが、知覚というセンサーが無いために、通常範囲での動作が確保できず8割くらいの尺でしか使われないために起こると考えられます(ブロック注射後すぐに切り上がりがでる場合は、単純に下制方向への力がなくなるため)。

下唇の切り上がり

 

同じようなケースで、手術後に顔面神経の下顎縁枝の損傷があったような場合にも、同様の下唇切り上がりが見られます。
下唇の下制制限は下顎縁枝だけでなく、頬筋枝の障害でも起こります。こちらは口輪筋や口角下制筋が頬筋枝と下顎縁枝の両方に支配されているためです。また、頸枝支配の広頚筋の麻痺でも同じように症状がでます。

オトガイ筋においては下顎縁枝のみの支配となるので、こちらの部分の麻痺の有無で、どの神経が原因となっているかの判断基準とすることもできます。

いずれにせよ、神経損傷でない場合の下唇切り上がりについては、早期からのリハビリで動作回復が可能となります。

また筋短縮や拘縮が進むと、こわばり感などが強くなるので、ストレッチや温熱療法、マッサージや鍼灸治療を用いて治療にあたっています。

 
 
zutuu
口や顎関節の異常は、側頭筋に痛みを生じやすく緊張型頭痛の原因となります。
当院にて顔面神経麻痺の治療をされている患者様の中にも多くいらっしゃいます。

顔面神経麻痺では、口の開閉などがうまくできなくなるので、長い期間、麻痺側で食べ物を噛まなくなり、それが習慣化してしまいます。

すると、咀嚼筋である咬筋や側頭筋にコリやこわばりが起こり、頭部に強い圧迫感や締め付け感が生じます。
 
症状の頻度や程度によって、頭痛が起きるメカニズムに違いはありますが、病態的には身体的ストレスや精神的ストレスが大きくかかわっているので、それぞれに対しても治療を行っていきます。
 
表情筋の治療による麻痺の回復と共に、正しい動作に戻り、頭痛症状も軽減していきますが、麻痺以前から首肩部の強いコリなどに悩んでいた患者様には、顔面神経麻痺の治療と同時に首肩周囲の治療もおススメしています。

日常生活の中で、食べたり話したりしている時に、「どの筋肉をどうのように使って、この表情を作っている」と考えている人は少ないと思います。しかし顔面神経麻痺になり表情筋の動きがなくなると、そのあたりを少し知っておく必要があります。

 

表情を作るために、どの筋肉を使っているかを知っておくことは、治療を進めていくにあたり大変重要になります。やみくもに表情を作ろうとして頑張ってしまうと、共同運動等の助長に繋がってしまうからです。

まずは大雑把にでも、どのような筋肉によって表情が作られているのか把握してください。

 

詳しい内容は、実際に表情筋を示しながらお伝えしておりますのでお気軽にご相談ください。少し知るだけで、自宅における顔の調子の見方が変わってきます。

 

40点法による評価項目と対応する筋肉は以下の通りです。

 

評価項目評価基準動作筋肉

額のしわ寄せ

眉の動きがみられません前頭筋
閉眼(強閉眼・弱閉眼)閉眼できず白目がみえます眼輪筋・皺眉筋
頬をふくらます空気が漏れて、ふくらみません口輪筋・頬筋
イーと歯をみせる麻痺側の歯が見えません口輪筋・頬筋・頬骨筋・口角挙筋
への字口をする麻痺側に皺ができず、健側に偏ります口角下制筋・下唇下制筋
鼻翼を動かす鼻孔が広がりません鼻筋

 

「鼻根のしわ寄せ」「眉間のしわ寄せ」など、40点法以外で評価をする項目もありますが、基本的には40点法を用いながら顔面神経麻痺の評価を進めてまいります。

 その中で、動作にかかわる筋肉がどこにあり、どのような仕組みで表情を作るのかを知ることによって、より繊細で無駄な力がいらない動きの獲得を目指していきます。

 

顔面神経麻痺になったときに知っておくと改善が進む表情筋の名称と働き

顔面神経麻痺では急性期と慢性期で症状が異なります。

急性期顔面麻痺

急性期には弛緩性麻痺による機能不全がおき、安静時に鼻唇溝が浅くなったり口角が健側に偏ったりします。顔の表情をつくろうとしても、思うように動かなかったり、まったく動かせないのはこの時期です。

目が閉じないためシャンプーが目に入ったり、口が動かしずらく食事に手間取るなどの日常動作に支障をきたします。

4か月目以降には、鼻唇溝が深くなり口角が患側に偏ってしまう顔面拘縮や、目と口が一緒に動いてしまう共同運動などが出現することがあります。眉を上げているのにも関わらず、眼裂が狭くなり、眉が下がってしまいます。

 

顔面神経麻痺の拘縮

 

上記のような症状は、発症4か月を境として出ることが多いように思います。

なので発症から3か月くらいで完治したと思っても、実際はさらに2か月くらい様子を見る必要があるのです。

特に筋肉については、急性期も慢性期も動かさないことによる筋力低下や、筋短縮が起こることが予想されるので、しっかりとしたケアと後遺症を悪化させないためのアプローチが必要になります。

 

はりふく治療院では、発症からの期間ごとに治療内容を変更していきます。

その時々に合ったアプローチを提供し、ご納得いただける説明も致しますのでご安心ください。

運動神経急性期(1-3か月くらい)慢性期(4か月目以降)
 神経麻痺による機能不全機能異常の出現
 ・筋力の低下・筋力の低下
 

・弛緩性の麻痺

 眼裂の拡大

 鼻唇溝が浅くなる

 口角が健側に偏る

 頬筋の萎縮

・筋短縮が起こり拘縮

 眼裂の狭小

 鼻唇溝が深くなる

 口角が麻痺側に偏る

 頬筋の膨隆

感覚・味覚不全 
副交感神経・涙の分泌不全・ワニの涙

顔面神経麻痺の後遺症で多いのが共同運動です。

共同運動とは麻痺発症後3~4か月後からでてくるもので、口の開閉に伴い目が動いてしまうといったものです。

まばたきをすると口角があがってしまったり、「う」の口をすると目が閉じてしまうなどがあります。神経が再生する際に、もともと支配していた筋肉とは違う筋肉に繋がってしまう(過誤再生)ことで共同運動は起きます。

 

顔面神経麻痺の拘縮

 

原因としては、急性期に無理に顔の表情を作ろうとする運動や、正しくないリハビリが挙げられます。

 

表情筋のこわばりが強かったり、むくみが出ている時には共同運動が強く感じられることもあるので、適切に治療をし表情筋の状態を保つことで後遺症を予防緩和することができます。

重症度によっては適切な治療を行っていても共同運動やこわばり等が残ってしまう患者様もおられますので、その場合は鍼灸やマッサージと並行してリハビリを行っていきます。

 

共同運動に関しては、予防に勝る治療はありません。早期からの鍼灸治療をお薦めしています。

顔面神経麻痺の検査でENoGというものがあります。

エレクトロニューログラフィーと読みますが、麻痺の予後を調べるのに病院等で用いられています。ENoG値が41%以上であれば麻痺一ヶ月でほとんどが完全治癒し、21%以上であれば2ヶ月以内、11%以上であれば4ヶ月以内に完全治癒、ENoG値10%以下になると半数の症例は6ヶ月でも治癒せず、ENoG値0%となると完全治癒は望めないといった基準になっています。

しかしながら、0%からでも鍼灸治療で治癒したケースは多くあります。最近来院された患者さんも同じようなケースでしたが、現在はかなり回復してきています。個人差もありますが、まずは鍼灸治療を行ってみることが大切だと思っています。